耐震補強か建て替えか?住宅の耐震・制震・免震の違いとは?

211 耐震補強か建て替えか?住宅の耐震・制震・免震の違いとは?

耐震構造にもいろいろある?


日本で暮らしていく上で、住まいの耐震はとても重要です。
特に、大地震を経験した神戸・明石ではなおさらです。

最近よく耳にするようになった制振や免震という言葉がありますが、耐震とはどう違うのでしょう?
実は、建物の耐震については広い意味(広義)と狭い意味(狭義)の2通りの概念があり、制振と免震は広義での耐震の種類です。

つまり、ひと言に耐震(広義)といっても、その方法は3通りあることになります。
耐震リフォームをする場合など、どの方法で施工するのか、できるのか気になるところですね。

住宅の耐震、制振、免震がどのようなものか、またその違いを知っておきましょう。


耐震・制振・免震について知っておこう


耐震(狭義)、制振、免震のそれぞれの概念については次のようになります。

・耐震(狭義)

従来からある耐震補強の方法で、制振、免震との区別として、地震の振動で壊れたり、倒れたりしないように建物を強くし、地震の揺れに耐えて被害を少なくすることをいいます。
大きな地震では、屋内で家具が転倒したり、柱などが損傷することがあります。
通常建物の耐震といえばこの方法になり、新築でも既存の建物でも施工が可能です。
木造住宅の場合は、構造用合板や筋交いで壁を補強し、柱と土台などの接合部を金物で固定するなどします。

・制振

ダンパーと呼ばれる装置を建物の内部に取り付け、地震の揺れを制御し、伝わりにくくすることで、被害を減らす方法です。
比較的新しい技術で、主にマンションなどの大規模な建物に使われてきましたが、近年は戸建住宅にも取り入れられるようになってきています。
戸建の場合、新築時が基本ですが、構造の条件によっては、リフォームでも施工が可能です。

・免震

地震の振動を免れるという考え方です。
こちらも新しい技術で、建物の基礎と土台の間に積層ゴムなどの免震装置を設置して、揺れを吸収し建物に伝わりにくくします。
免震装置は、ビルやマンションなどの大規模建築物の耐震に効果があるものですが、近年は戸建住宅向けのものも開発されています。
とはいえ、戸建住宅にリフォームで免震工事をするには、構造の条件にもより、工事は大がかりで、費用も多額になります。


耐震プラス制振、免震?


地震の揺れに耐えることが目的の耐震(狭義)に対し、制振、免震は家具の転倒などの被害を防ぐために揺れそのものを軽減するという違いがあります。
このことからお分かりかと思いますが、制振、免震は従来からの耐震構造の問題点を改善するために生まれた技術です。

1981年6月の新耐震基準以前に建てられた住宅は、この耐震構造を備えていない建物とされています。
古い建物の場合、費用をかけてまで耐震性能を上げることにためらう方も多いと思われます。
震災の被害にあった、神戸・明石の建物の場合は特に、建て替えするか耐震補強するかの判断は、構造の種類や工期、費用などの面からよく検討して決断することが必要です。

(関連コラム:震災地震対策に助成金制度利用でリフォーム 耐震改修で安心な生活を
(関連コラム:神戸市の耐震改修補助金について

No.211

Pocket