老後に安全な浴室づくりのポイント
浴室は家庭内事故が起きやすい場所。
リフォームをするなら、年をとっても安心して使える安全な浴室づくりをしておきたいと考える人も少なくないのではないでしょうか。
そのために、抑えておきたいポイントを紹介します。
安全性や介護のしやすさにはスペースが必要
浴室内でスムーズに動けるようにするには、ある程度の広さが必要になります。
また、将来の入浴介助やシャワー用車いすの使用もみすえるなら、おおよそ1坪(180 x 180cm)のスペースがほしいものです。
さらに、出入口は間口いっぱいに開口を取った3枚引き戸が最もスムーズに出入りできます。
年をとっても出入りしやすい浴槽は?
住宅用の一般的な浴槽(バスタブ)は主に和式、洋式、和洋折衷式の3種類があります。
高齢者や障害者にとって安全な浴槽の条件とは、浴槽内で姿勢を保ちやすく、つま先が浴槽の壁につくことです。
この条件に合うのが和洋折衷式浴槽です。
転倒とスリップ対策
浴室内で転倒したり、すべったりすると大ケガにつながります。
年齢に関係なく事故が起きやすいのが出入口や浴槽のまたぎ越しです。
この近くの壁には、たて手すりを設置しましょう。
一方、浴室内の移動の補助になる横手すりの位置は使う人の身長により異なります。
体型は年齢によって変わってくるので、現在、必要でなければ、将来に備えて床上から60?90cmの範囲に下地を入れておきます。
また、すべりにくく温かみのある浴室用の床材もあるので、取り入れたいですね。
脱衣室との段差は?
通常、浴室の床は脱衣室よりも10~15cm低くなっています。
年をとると、足元の段差につまずきやすくなりますし、車いすの使用に備えるのであれば、床面は脱衣室とバリアフリーにしておきたいですね。
その場合、排水溝は出入口側に作り、細い角パイプ状のT型グレーチングを設置します。
この他に、脱衣室との床面の段差を解消するには、すのこを使用する方法もあります。
ヒートショック対策を
寒い時期に起こる急激な温度変化による体調の悪化をヒートショックといいます。
高齢になると、ヒートショックのリスクが高まりますし、入浴前後の着替えに時間がかかるようにもなるので、脱衣室には暖房が必須です。
暖房設備を設置する場合、エアコンやファンヒーターなどは風によりかえって体を冷やすことがあるので、床暖房やパネルヒーターがおすすめです。
いまは必要なくても、暖房用のコンセントを設けておきましょう。
加えて、浴室暖房機もほしいところですが、風呂ぶたを開けたまま給湯するなどの工夫で入浴前に浴室を暖めておくこともできます。
浴室リフォームの際に、老後にも備えておきたい設備がある場合は、いまあれば役立つ設備と将来の状況に合わせて設置するものの見極めが大切です。
以上を参考に、設計者やリフォーム業者とよく相談してくださいね。
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