年齢によってトイレの使いやすさは変わるから
誰でも年をとると体を動かしにくくなります。
お年寄りにとって、トイレといったせまい空間で便器に座ったまま、体をねじったり、物を取ったりするのはむずかしいもの。
自分が年をとったとき、また家族に介護が必要な方がいる場合で、安全で使いやすいトイレとは、どのようなものでしょう?
リフォームでできる、高齢者にも使いやすく介護もしやすいトイレ作りの工夫をご紹介します。
高齢者にやさしいトイレ作りのポイント
・広めのスペース
安全性と使いやすさ、そして介助することも考えると、広めのトイレが望ましいものです。
内寸で75 x 140cm程度のスペースがあれば、自立している人ならムリなく立ち座りができます。
トイレ介助をする場合、さらに便器の前方か片側に50cm以上のスペースが必要です。
また、車いすで出入りでき、介助もしやすいとされるスペースは内寸165 x 165cm以上といわれています。
どうしてもスペースが限られる場合は、洗面所や脱衣室とつなげ、ワンルームにすることも検討しましょう。
・手すりの位置
トイレ内の移動や動作をラクにするために、必要があれば手すりをつけます。
移動用には水平、立ち座り用には垂直の手すりをつけますが、使用する人にとって実際に使いやすい位置を確認して取り付けましょう。
今は必要ないが、将来に向けて前もって手すりをつけておくのは、あまりおすすめできません。
人の体型は経年により変化するので、手すりの使いやすい位置も変わってくるからです。
現在の手すりの位置が将来使いにくくなることもあるので、その時に応じて手すりの位置を変更できるよう、トイレの壁には広めに下地を入れておくのが良いですね。
・出入口は引き戸がおすすめ
安全かつラクに出入りできるためには、出入口の開口幅は75cm以上にし、トイレの外側との床の段差をなくします。
そのためにも、また有効スペースを広く確保する上でも、ドアは引き戸がおすすめです。
開き戸タイプのドアしかつけられない場合は、内開きだとトイレ内で転倒したときに救助がむずかしくなるので、必ず外開きにしましょう。
・距離感も大事
高齢者にとって、寝室からトイレが4m以上離れると遠いと感じるようです。
トイレは高齢の方の部屋に近い方が良いのですが、場所を変えられない場合、便器や出入口の方向を変えるだけで動線が良くなることもあります。
また、トイレ内では、実際に便器に座ったままムリなく手の届くところにトイレットペーパーホルダーやシャワー便座のリモコンスイッチを設置しましょう。
この他に、安全性や衛生面を考えると、トイレの床はすべりにくくお掃除しやすい材質のものがいいですね。
以上のポイントを長年にわたって使いやすいトイレ作りとお部屋の間取り検討のお役立ててもらえればと思います。
(参考:トイレリフォームについてはこちら)
(関連コラム:思い切って減築もアリ?老後をみすえたリフォームとは)
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