No.92
不動産の特例が発表される時期って決まっているの?
先日のニュースで、「市民農園増へ、農地貸せば相続税猶予」という記事が掲載されました。この記事のように資産としての不動産や、その不動産を活用する代表的なケースである「相続」の場において、現在の課題を解決する糸口になる「特例」が良く報道されます。 少し難しい内容になりますが、不動産の売買のタイミングに影響することもあるので、少し考えてみることにしましょう。
この特例は、いくつかの傾向があります。ひとつは不動産売買や賃貸の際、もしくは相続の資産算定において、支出する金額が「非課税」となること。非課税とはまさに「支出分が課税される対象ではなくなること」を指します。この非課税に似ているものに、本来の税額が課税されなくなる「軽減税率の対象」も含まれます。不動産だけの話ではありませんが、予定されていた来年4月の増税が再延期となるか議論のタイミングを迎えている消費税で耳にした人も多いでしょう。
1.不動産の施策に注目するのはいつか
このような、不動産や相続の「施策」に注目するのはいつなのでしょうか。なぜ施策が発表されるタイミングが重要なのかというと、それにより「(所有している)不動産の売買時期を決めよう」「生前贈与の執行時期を決めよう」と考える人が多いからです。
一般的にこのような施策は「翌年の〇月〇日から」や「次年度の国家予算(若しくは補正予算)によって決定」というケースが多いです。それは施策の決定過程として、政府や省庁の「原案」があり、それを国会や自治体議会で議論し、施策として整えていくためです。最近はインターネットの発展なども理由となり、原案の段階でインターネットの報道を警戒する新聞などで報じられるようになってきました。
2.「夏」と「春」の発表に注意!
以上のスケジュールから、まず特例が発表されやすいのが「夏」です。これは年明けから始まる議会の予算策定が、前年の夏の終わりから開始されることが理由です。もうひとつのタイミングが「春」であるのは、毎年秋に「補正予算」が組まれることが多いためです。補正予算は年度予算ほど準備期間が必要ないものの、原案の段階で報じられるためです。今回の日経新聞の報道は、まさに補正予算を前提としたものといえます。
3.今年は選挙がある
そして、今年2016年夏には参議院選挙があります。これからは選挙を見越して、様々な施策が打ち出されてくることでしょう。このように、不動産を投資対象として検討される場合には、時事の動きも重要な要素となると言えます。