売却の予備知識この先どうなる?中古不動産市場
雇用が不安定な時代の住宅購入に変化
長期雇用を前提とした長期の住宅ローンを借りて家を建てるという考え方が、時代にそぐわなくなっているのは、皆さんもお感じになられているかと思います。
住宅ローン返済できなければ、せっかく購入した家を銀行に取られ、ローンだけが残るということになります。
このような環境において、新築住宅から価格の手頃な中古住宅へのシフトが発生しており、中古住宅へのニーズは高まっています。これは、20代から30代の、以前であれば建売の新築を買い求めていた層の方が中古住宅を選ばれることが増えています。
将来への不安から賃貸へのシフトも
少子化高齢化により、家の状況として、介護施設に入所することになった両親の家が空き家になりその家に住むことになったり、その予定があるため、自身では家を建てずに、親が元気なうちは賃貸住宅に住み、将来はその家にリフォームして住むことになったりということもあります。
また、今の親の世代が、子供に面倒をみてもらうことへの抵抗があるため、以前なら、2世帯住宅への建て替えなどの需要が発生していたはずのものも、家あまりの状況から、別々に住むことを選択できるようになっています。
また、収入が少なくなったときのことを考えて、賃貸を好んで住まれる方もあります。神戸・明石ではまだまだ認知度も低いですが、入居者が自由に内装の変更を行うことができ、原状復帰も不要というDIY賃貸というジャンルも発生しております。
住宅の価値は二極化する
このように中古住宅を取り巻く環境は、持ち家・賃貸についても明るい部分もありますが、日本では、世帯数より、建物戸数のほうが多い、「家余り」と言われる状態が年々拡大しています。
全国と同様、神戸市・明石市内でも状況は同じです。日本では、夕張市、世界的に見ればデトロイト市などで、人口の公共サービスが成り立たない状況が発生し、衛生・治安などの問題により人がますます離れていくという現象が起きています。
今後30年の間に、神戸市・明石市を含め日本の多くの都市がこの問題に直面すると思われます。これは、家余りの地域では価格が著しく下落し、その代わりに人口が集中する地域では、高値で取引されるという現象が起きると予測されています。そのため、空き家問題や地元の活性化ということに国も本気で取り組み始めています。
供給過多が続く新築住宅
多くの建設会社が、建物を建てなければ収益を上げることができないため、実際の需要以上に新築住宅が建設されている部分はあります。
特にマンションでは大手デベロッパーによる積極的な開発が行われています。その結果、新築マンションの価格は徐々に下落しており、中古マンションの価格メリットが薄れている部分があります。
今後20年の間に高度成長期に建てられた団地やマンションの建て替え需要以上の建築については、中古マンションの相場・家賃相場の下落が間違いなく発生します。今、中古物件を売却しようとする方にとっては、厳しい時代になっており、これは当面続くと思われます。