No.104
今求められる、ユニバーサルデザインな賃貸物件とは?
高齢社会に求められる賃貸住宅とは
高齢社会となったいま、公共の建築物はもちろん、住宅にもバリアフリー化が求められることが多くなりました。多くの業界で顧客の平均年齢が高齢化し、賃貸住宅市場も例外ではありません。収益物件のオーナーとしては、不動産賃貸業を続けるのであれば、高齢者対応は考えるべき課題です。
さて、ここで、バリアフリーの概念について確認しておきましょう。バリアフリーとは、文字通り高齢者や障害者など特定の人たちにとっての障壁となるものや不便さを解消することです。
これに対し、ユニバーサルデザイン(UD)をご存知ですか?
UDはバリアフリーに似ていますが、特定の人々を対象にするのではなく、誰にでも使いやすいデザインのことです。バリアフリーは特別仕様の意味合いが強い一方、UD製品は価格についても買い求めやすく、最近ではUD仕様の住宅用の建材や設備も登場しています。
ユニバーサルデザインを取り入れよう
建物全体やすべての居室をバリアフリー仕様にするのは物理的にも資金的にも大変です。そこで、退去時の原状回復の際にUD製品を取り入れて、まずは1室をできる範囲でUD仕様にしてみてはいかがでしょう?
それには、次のようなことが考えられます。
●縦手すりとL字型手すりをつける
専有部分内の床に全く段差がないのは理想ですが、床全体のバリアフリー化には大がかりな工事が必要になります。少段差はあっても、次のような個所に縦手すりやL字型手すりを設置すれば、暮らしやすくなります。
<縦手すり>
・玄関の上がりがまち(18cm以上ある場合)
・浴室の出入口と浴槽のふち
<L字型手すり>
・トイレの便器の横の壁
●引き戸をフラットレール/吊り戸タイプに変更
フラットレールは段差が5mm以下の引き戸用敷居です。また、吊り戸は上部のみにレールがあります。こうしたタイプの引き戸に変更すると、敷居部分の床の段差を解消できます。
●開き戸のドアノブを握るタイプからレバータイプに変更
レバータイプのドアノブは手の力が弱い人でも使いやすく、大きな荷物を持っていたり、赤ちゃんを抱いたままでも開け閉めしやすく便利です。
●キッチンや洗面台の水栓をシングルレバーの混合栓に変更
シングルレバーはドアのレバー同様、弱い力でも開け閉めしやすい水栓。レバーは長めの方が、より使いやすいです。
●電気のスイッチをワイドスイッチに変更
ワイドスイッチは押す面を広くしたスイッチで、少ない力や手の平でも照明などのオン・オフが簡単にできます。
以上のような配慮がされた部屋なら、高齢者はもちろん、小さなお子さんがいる家族など、いろんな人が暮らしやすそうですね。UDを取り入れることは賃貸物件の付加価値につながります。できるところから、取り入れてみませんか?
(参考:入居者確保の最新事情)