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頭金ゼロで住宅を購入する際に知っておきたい問題
住宅を購入する際、住宅ローンの借入をおこなうのが一般的ですが、最近は「頭金ゼロ」で全額を住宅ローンの借入でまかなう人も増えています。住宅購入時には物件価格だけでなく登記代などの諸費用もかかってきますが、この諸費用まで住宅ローンで借りれることも可能です。
現在、頭金ゼロで住宅を購入する人は全体の6%程度となっており、頭金を入れたとしてもその割合が1割未満という人は全体の35%にものぼります。
ただ、自己資金ゼロもしくは自己資金がかなり少ない状態で住宅を購入すると、リスクがあるのも確かです。そこで、ここでは頭金ゼロで住宅を購入する場合のリスクについて、紹介しておきたいと思います。
失業や収入減で破たんする確率が高くなる
自己資金無しで住宅を購入した場合、一番怖いのは失業や転職などで収入が途絶えたり、収入が減ってしまうことです。つまり、住宅ローンの返済に困窮してしまったときの問題があります。
頭金を2割以上入れているような場合であれば、家を売却してそのお金を住宅ローンの返済に充てることができます。家は失っても、住宅ローンの返済が残ることもなく、そのときの収入に応じた安いアパートなどに引越すことができますね。
しかし、もし頭金ゼロの場合は住宅ローンの残高が多く、家を売ったとしてもまだ住宅ローンの残高が残ってしまう可能性が高いのです。というのも、住宅の価値というのは買った後すぐに目減りしてしまうからです。だいたい、10年も経てば新築時の6割ほどの価値しかなくなってしまうため、売却しても住宅ローン残高を相殺できるほどの売値がつかないのです。
金利が高くなり、生活が苦しくなる
さらに、頭金がゼロもしくは割合が少ない場合は、その分だけ金利が高くなる傾向もあります。頭金を2割以上入れた場合と比べると、0.4%ほど高くなるかもしれないのです。金利が高くなるとそれだけ返済額も増えますから、生活を圧迫してしまう可能性があります。
もし、あらかじめ資金計画をきちんと立てていて繰り上げ返済もできるのであれば頭金がゼロでも乗り切れると思いますが、「賃貸マンションの家賃と変わらないなら……」というだけで安易に住宅を購入してしまった場合は、繰り上げ返済するゆとりもなく、最悪家計が破たんしてしまうこともあります。
節約してなんとかできればいいのですが、どうにもならず家を売却するにしてもローン残高は相殺できず、住宅ローンを返済しながらアパートの家賃も払う、という状況に陥ってしまうかもしれないということは考えておかなくてはなりません。
頭金は2割、手元に貯蓄も残す
理想は、頭金を2割以上入れた上で住宅ローンを組むことです。2割以上入れるだけで家計が破たんする確率を格段に減らすことができます。
とは言え、手元の貯蓄をすべて頭金に入れる、というのはおすすめしません。今は、よほど安定した仕事に就いている人以外はいつ職を失ったり、収入が減ったりするか分かりません。そのため、手元には3~6か月分程度の生活費にできる程度の貯蓄は置いておくべきだと言えます。
ただ、これはあくまでも理想論であり、一般論です。購入しようとしている物件の価格やその人の家計状況によってはもっと頭金が少なくても安全に購入できる場合もあります。実際に購入される際には、今の貯蓄や家計の状況を整理した上で、プロに相談してみましょう。