No.87
マイナス金利が不動産売買に与える影響1/1
日本銀行が「マイナス金利政策」を導入しました。金融市場をはじめ、影響が広がっています。ところで、当サイトの主要テーマである不動産の世界では、このマイナス金利は関係あるのでしょうか。不動産の世界で金利といえば、「住宅ローン」です。
住宅ローンと金利
住宅ローンに金利が与える影響について説明する前に、住宅ローンには金利が2種類あることをお伝えします。それは「変動金利」と「固定金利」です。変動金利は民間の銀行ローン、固定金利は住宅金融支援機構のフラット35と覚えている方も多いと思います。(実際には民間銀行も固定金利を扱いますし、固定金利が数年間続いたあと変動金利に切り替わるローンもあります)。
一方で、ニュースに流れている「マイナス金利」は何を指すのでしょうか。
政策金利
難しくなってきましたが、もうひとつ増やします。「政策金利(短期金利)」という言葉です。
この政策金利は、住宅ローンのうち「変動金利」の基準となります。一方の固定金利を決めるのは政策金利ではなく、(金融)市場の動向に影響を受けると言われています。
フラット35や民間銀行の商品のうち、「10年以上の固定金利」は、「長期金利(10年物国債の流通利回り)を基準として決定しています。
話をまとめますと、マイナス金利は、今日お伝えしたいずれの金利でもありません。今回のマイナンス金利は、民間銀行が日本銀行にお金を預ける際に、金利ならぬ「手数料」を取ることを意味します。これにより民間銀行は、「日本銀行に預けているくらいなら、(民間企業に)融資をしたり、自社で運用をしたりする方がいい」という判断になります。このため市場にお金が流れることが、日本銀行の狙いです。
この流れをうけて、銀行は、住宅ローンの金利を見直す可能性があります。既に住宅ローンを組んでいる方にとっては、返済負担が軽減します。毎月の住宅ローンの返済額は、半年に一回の見直しなどなので、金利が下がって、来月からローンの返済額が変わるということがないもしれませんが、とてもうれしい話ですね。今から住宅を購入される方にとっても、もちろんメリットはあります。ただ、これによって、住宅購買意欲が湧くかどうかは別かもしれません。投資対象物件については、金利負担は、利回りに直結しますので、不動産投資への契機には多少なるのではないかと思います。銀行にお金を預けて金利で生活できた時代があったなんて、今では信じられないですね。