No.131
マンションを売却して「損失」が出たときの対処法
マンションを売却したときは、いくらで売却できるか分かりません。そのため、場合によっては「損失」を計上してしまうかもしれないのです。しかし、そんなときには、税制優遇を受けることができます。この優遇は非常に大きな金額になるので、マンション売却前に必ず理解しておきましょう。
1.損失の計算方法
そもそもマンションを売却した後の「損失」を計算するには、単純に「売却価格」から「購入時価格」を差し引くだけでは求められません。そのほかに「売買時の諸費用」と「減価償却費」が関係してくるのです。計算式にすると以下のようになります。
・「(売却価格-売却時の諸費用)-(購入時のマンション価格+購入時の諸費用-減価償却費用))」
譲渡所得(マンションの売却したときの収益)」は上記の計算式で算出され、その結果マイナスになったときに「譲渡損失」という言い方になります。この計算は複雑になるので、不動産会社に依頼しましょう。
2.譲渡損失は節税できる
結論から言うと、譲渡損失を計上すると節税することができます。具体的には、「特定居住用財産の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用することによって、損失額をほかの所得から差し引くことができるのです。
2-1サラリーマンの場合
たとえば、サラリーマンの方がマンションを売却して、以下のような状況で譲渡損失が発生したときを想定します。
・サラリーマンの給与所得が700万円
・マンション売却に伴う譲渡損失が1,600万円
このようなときには、給与所得の700万円から譲渡損失の1,600万円を差し引くことができます。つまり、この年の所得は0円になるので、所得税と住民税は0円になるということです。また、余った900万円(1,600万円-700万円)は3年に渡って繰り越すことができます。
仮に50階建てのタワーマンションであれば、25階が基準階になります。そこから、1つ下の階へいくごとに-0.25%減税、1つ上の階へいくごとに+0.25%増税されるのです。そのため、最下層階である1階と、最上階である50階の税金額の差は、12.5%の差になります。
2-2特例利用時の注意点
ただし、この特例を利用するときには、「条件」と「確定申告」に注意しましょう。この特例を利用できる条件としては、「住宅ローン残債がある」「売却した年の過去2年間でほかの特例を利用していない」などの条件があります。
また、この特例を受けるためには、マンションを売却した翌年に確定申告する必要があります。確定申告をしないと、特例は受けられず無駄に税金を支払ってしまうので注意しましょう。
このほかにも、この特例を受けられる「条件」や「注意点」は色々とありますので、詳細は国税庁ホームページで確認ください。
このように、マンションの売却に伴い損失を計上したら、特例を利用して節税を行うことができます。しかし、特例を利用するためには条件もありますし、翌年確定申告する必要もあります。詳細は国税庁ホームページ、および税理士に問い合わせましょう。
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