No.167
空き家対策特別措置法とは?
空き家の数は年々増えており、2013年には820万戸※1にのぼります。後述しますが、空き家が増えることはデメリットしかないので、空き家の減少は日本全体の課題と言えるでしょう。今回は、そんな空き家に関連する施策である空き家対策特別措置法について解説します。
1.空き家対策特別措置法ができた背景
空き家対策特別措置法とは、端的に言うと増えすぎた空き家を少しでも減らすための施策になります。まずは、空き家を減らそうとしている背景を理解しましょう。その背景とは以下の通りです。
・火災や倒壊などの危険性がある
・空き家古いと景観が乱れる
・空き巣などの被害につながる
このような危険性があるため、空き家対策特別措置法ができ、空き家を減らすという流れになったというわけです。
2.空き家対策特別措置法の内容
空き家対策特別措置法ができてから最も大きく変化したことは、行政が主導して空き家を撤去できるという点です。以下のような流れで、行政は「空き家を解体する」などの処理ができます。
・行政から空き家所有者に解体や修繕などの通告
・改善が見られなければ期限を設けた勧告
・期限内に変化がなければ強制撤去
前項のような危険性がある空き家は、上記のような流れで強制的に撤去することができます。実際に、上記の決まりに則り、2015年に神奈川県横須賀市で空き家が強制的に撤去されました。
また、空き家対策特別措置法の誕生により、固定資産税の軽減措置もなくなりました。本来、土地に建物が建っていれば固定資産税は軽減されます。しかし、その建物が空き家の場合には、その軽減がなくなるのです。つまり、空き家の所有者に空き家の解体や有効活用を促しているということです。
3.気を付けるべき人
空き家対策特別措置法が施行され気を付けるべき人は、築古の空き家を所有している人です。なぜかというと、築古の空き家は上述した「空き家のリスク」が大きいと判断され、行政が強制的に解体に入る可能性が高いからです。
また、5年ごとに国の方で空き家の調査※1をしており、次の調査が2018年になります。恐らく空き家は減少していないと思われるので、今後ますます行政が主導する解体処分が進む可能性があります。
そのため、今の時点では解体した事例は少ないですが、今後は良く注意しておく必要があります。築古の家を所有している人は、買い手も中々見つからないので、早めに査定をして売却なり活用なりを考えることをおすすめします。
このように、空き家を減少させるための施策として空き家対策特別措置法があります。空き家は日本全体の重要な課題なので、空き家を持っている人はこの施策の中身をきちんと理解しておきましょう。その上で、空き家の処分や活用を進めておくべきです。
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