No.51
住み慣れた家を離れてでも老後に住み替えした方がいい理由
老後の生活を考えたとき、「どこに住むか?」というのは非常に重要な問題です。「住み慣れた家で老後を過ごしたいからリフォームしておこう」という方は多いものですが、そもそも、住み慣れた家よりも、思い切って住み替えした方がいい場合もある、ということをご存じでしょうか?
不便な場所で暮らすのは大変
体の自由がききにくくなると、郊外での生活や田舎暮らしが難しくなってきます。車に乗れるうちは大丈夫でも、車に乗れなくなるばかりか、自転車すら乗れなくなってしまう将来のことを考えると、徒歩圏にスーパーや役所、銀行などが揃っているところに住むのが理想だと言えます。
今の住まいをいくら介護仕様にリフォームしたとしても、場所そのものが不便なところだと生活していくのが大変です。「車や自転車に乗れなくなってもちゃんと生活できるところ」に引越した方がいい人も多いのです。
広い家は手入れが大変
子育て期に購入した家は、老後に暮らすには広すぎます。かつての子供部屋は物置部屋へと変わり、「いずれ整理しよう」と思いながら時が経つと、大量の不用品を整理するだけの体力がなくなってしまうリスクもあります。もちろん、普段の掃除や片づけも、家が広いほど大変です。
もちろん、今の家が不便な場所でなければ、「減築する」という方法もあります。
介護施設に入る可能性
老後でも、60代70代のうちはアクティブにシニアライフを楽しめるほどの元気はあります。一方、80代90代になってくると、徒歩での移動が増え、介護が必要になる方も多く、介護施設に入る可能性もあります。家族構成などから、最終的に介護施設に入る可能性があるという方は、家自体を介護仕様にリフォームするよりも、よりコンパクトな家に引越して家の維持費を減らし、介護施設に入るための資金を確保しておいた方がいいでしょう。
最終的に介護施設に入ることを前提とするのであれば、元気な老後期を過ごす家は介護仕様にしておく必要もありませんし、純粋にシニアライフが楽しめる家を追求することが可能になります。
以上のことから、不便な場所にある広い家に「住み慣れているから」という理由だけで住み続けるよりも、60代の元気なうちに便利な場所にあるコンパクトな家に住み替えた方が充実したシニアライフを過ごせるようになると言えます。
元気なうちに引越してしまえば、そこから新たな人間関係を築くこともできます。いよいよ体力がなくなってしまってから都市部の便利なところに引越そうとしても、新たな人間関係を築ける自信がなく不便な生活を続けなければならなくなってしまうこともあるのです。
もちろん、住み替えのためには今の家を売却もしくは貸し出すなどする必要がありますし、簡単に住環境を変えることができない人もいらっしゃるでしょう。ただ、老後の住まいの一つの選択肢として、「介護施設に入るまでの【元気な老後期】を快適に過ごすために、コンパクトな家に住み替える」という考えを持っておくのは決して損にはならないはずですよ。