No.97
消費税増税凍結と住宅購入(1)
2017年4月に予定されていた消費税。今週末、日本で開催されたG7サミットの終了に合わせ、マスコミが一斉に増税の延期を報じました。今回のように「増税予定が凍結された」ことは、住宅購入にどのような影響があるのでしょうか。
1.3,000万円の住宅は「60万円」の違い
まず、消費税が8%から10%になると、住宅購入はどれくらいの税金負担が増すのかを考えてみたいと思います。仮に物件本体の価格を3,000万円とすると、消費税の税額によって物件価格は以下のように変わります。
(消費税8%の場合)3,000万円×8%=消費税240万円
(消費税10%の場合)3,000万円×10%=消費税300万円
なお、住宅購入時の物件価格において、消費税が課税されるのは「建物(上物)」のみです。建物の建つ土地に関しては消費税がかかりません。今回消費税の増税が凍結されることで、「表向き」は表題のように60万円の費用が必要になります。ただ、この消費税増税には、見えないお金」も多く存在します。
2.課税対象になる、さまざまな「諸費用」とは?
消費税増税の影響を受けるのは物件価格に限定した話ではありません。住宅購入においては、物件価格以外にもさまざまな費用が増税の影響を受けます。具体的な項目としては、仲介手数料や火災保険料、司法書士への報酬などです。一覧にして見ていきましょう。
■増税の影響を受けるもの(消費税が課税されるもの)
- 物件価格(土地は非課税。家屋やリフォーム費用など)
- 仲介手数料
- 司法書士費用
- 適合証明書手数料
■増税の影響を受けないもの(消費税が課税されないもの)
- 登録免許税などの税金
- 火災保険料などの損害保険料
- 団体信用生命保険料
- 修繕積立金
これら諸費用は、一概に「○○円程度」とはいえない側面があります。ただ、物件価格だけではなく、諸費用も含んで考えると、先の3,000万円の物件を購入した場合も、適用する税率によって大きく費用が変わることがわかります。
3.住宅購入と消費税増税の関係
それでは、今回の消費税増税凍結によって、「住宅購入のタイミング」はどのように変わるのでしょうか。追い風になるのでしょうか、それとも向かい風になるのでしょうか。次回は、今回報じられている「2年半」というスケジュール感も踏まえたうえで、消費税増税凍結と住宅購入の効果を考えてみたいと思います。
(参考:不動産購入をお考えの方はこちら)
(関連コラム:消費税増税凍結と住宅購入(2))