相続が発生した場合で、住み続ける家族がいない場合、売却を検討することもあるかと思います。その中でも、相続した不動産を買取で売却したり、成年後見人になって不動産を買取で売却する場合には共通点があります。それは、売却後の手続きが面倒だったり準備が必要だったりする場合です。また思った時期に不動産を現金化するのは意外と難しいと感じる場合も同様です。
なぜ相続不動産の買取が多いのか
相続したけれど、
その場所さえ行ったことがない。
知らない。思い入れがない。
収益物件は別として、
固定資産税や毎月の経費が必要な
物件は現金化したい。
相続物件の活用方
相続した不動産は、単独もしくは複数の法定相続人が所有します。
マンションであれば賃貸に。空き家を解体して月極め駐車場に。アパートや一棟マンションなどはそのまま収益物件として家賃収入にします。しかし、なにかしらの資金を投入して不動産の有効活用するのは、一部の意欲的な相続人に限られます。
活用したいと思う人はごくわずか
相続人の数が多くなるほど、「考えられる理由1」で述べたように、場所さえ知らない。と言う人が出てきます。ですから、空地や空き家にしている位なら現金化しようとなるのです。
また、評価額の高い不動産を相続した場合、手持ち資金で相続税を払えない。そのために物件を売却して、納税資金に当てる。そんなこともありました。
結論は、1高齢化、2現金化、3物件の世話をするのが煩わしい、となりそうです。
あった
相続人が12人!?
可笑し楽しい買取契約
神戸市東灘区で相続された駐車場を取引した時の話です。
150坪以上の大きな土地で、とても個人のお客様が購入できるような金額ではありませんでした。販売活動を行うものの難しい日が続きます。
値段次第ですが、初めから売主様には、不動産業者のようなプロによる購入しか難しい旨をお伝えしていました。
結果、会社で買取させていただきましたが、12人の相続人の同意が得られるまで約1か月を要したのです。代表者が決められていないせいで、皆様が同じようなことを各々おっしゃられます。伝言ゲームでも12人もいれば途中で間違いが生まれます。
契約書に名前が入りきらない初めての経験もしました。楽しい思い出です。
※成約後の金銭の配分
取得価格と売却価格で差益が出ている場合で、取得価格が分からない場合は、売買価格の5%を取得価格とし、譲渡税、復興特別所得税、住民税がかかります。
なお、譲渡所得は取得期間により、短期譲渡所得と長期譲渡所得で税率が変わりますので、具体的に「売買価格÷相続人の数=手取り金額」とはいきません。詳しくは税理士・税務署にご相談ください。
成年後見人制度で買取が多い理由
家庭裁判所で成年後見人を選任
おじいちゃんが、最近物忘れがヒドイ!同じことを何度も言う!もしかして……、「痴呆症」かも?そんな時、おじいちゃん名義の不動産を売却して老人ホームのお金に充てたい、と考えた時、どうしたらいいかご存知ですか?今までは、売買金額も親族が決めて、売渡証書に "手を添えて" 住所氏名を自筆で書いたり……もあったようですが、今は絶対にダメです!
売却する場合は、家庭裁判所で成年後見人を選任して、売買価格も家庭裁判所の許可がなければ、不動産取引はできません。
最近は高齢者増加に伴い、身寄りのないお年寄りも多く、成年後見人も親族ではなく、弁護士や行政書士がなる場合が増えています。
あった
買取金額を
老人ホームの入居資金に
私が成年後見人制度を利用した取引は、今までに4度ありますが、単純処分が1件。老人ホームの入居費用に充てるために売却した例が3件です。その内の3件が買取案件でした。
この3件は、成年後見人が所有者の次の行き先の算段までしていました。そして、老人ホームの入所に関して手続きを行い、所有者の不動産を売却して入所の資金に充てるとしたものでした。
資金の算段を期限付きでしなければならなかったことと、所有者が一人で住んでいた部屋は状態が悪く、本当に申し訳ないのですが、ゴミ屋敷のような状況でした。
身の周りの世話ができなくなると仕方がないですが、一般のお客様に見ていただける状態ではありません。そのような理由も重なり、お金の算段が確実に付けられる買取をさせていただきました。
買取に向いている理由
- 成年後見人が負うはずの瑕疵担保責任がない
- 売却スケジュールが明確なため売却後の資金計画が立てやすい
売却後、資金のスケジュールを予め決定している場合は、買取が向いています。また、通常の取引なら所有者の代理人となる成年後見人が、瑕疵担保責任を負いますので、免責される契約も買取に向いている理由になります。
なお、金額に関しては家庭裁判所の許可が必要になりますので、あまりにも安いなどで、買取価格が妥当と判断されなかった場合は受理されません。
お早めにご相談ください
成年後見人でも、他人の財産を思うように処分できないようになっています。成年後見人の手続きには必要書類も多く、時間もかかります。書類提出後、選任には早くても2週間ほど必要です。事前にご相談ください。
申立書/申立書付表/後見人候補者身上書/財産目録/収支予定表/医師の診断書/本人の同意書/本人の親族の同意書/代位権目録/戸籍謄本/戸籍の附票/成年後見に関する登記事項証明書/住民票の写し ……その他
- 相続や成年後見などで、不動産は換金を優先することが多く、買取になりやすい
- 資金のスケジュールが決まっている場合は、早めの決断が必要