No.194
プロでも意外と知らない?事業不動産の税金と特例について
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出たときは、その譲渡所得に対して税金がかかります。この譲渡所得で、「入居用不動産」についての知識がある人は少なくありません。
しかし、事務所などに利用する「事業用不動産」についての知識がある人は、実はプロである不動産業者ですら多くはないのです。今回は、そんな事業用不動産の税金の特例について解説していきます。
事業用の不動産を買い換えたときの特例の概要
事業用不動産の特例は、不動産を買換えたときの特例になります。概要としては、自分が所有している事業用不動産を売却し、一定期間以内に別の不動産を購入します。そして、購入した不動産を1年以内に「事業用」として利用したときに受けられる特例です。
そのため、あくまで「事業用不動産の買い替え」時に適用されるのであって、「入居用不動産→事業用不動産」や「事業用不動産→入居用不動産」の買い替え時には適用されないので注意しましょう。また、事業用不動産の売買に関する税金は、入居用不動産と同じ「譲渡所得税」になります。
特例の内容
まず、購入金額の方が売却金額より高いケース(購入金額>売却金額)から解説します。この場合、「売却金額×20%」を譲渡所得に加味することができます。つまり、譲渡所得を減額することができ、譲渡所得税の節税につながるというわけです。
一方、逆に売却金額の方が購入金額の高いケース(売却金額>購入金額)は、買い替え金額に20%を掛けた額との合計額を加味します。こちらも同じく、譲渡所得が下がるので節税につながるというメリットがあります。
要は、事業用不動産を売却するときは、次に購入する不動産が事業用であれば節税できるということです。そのため、新しい事業用不動産を購入するときに、既存の事業用不動産を所有していた場合、その既存の不動産は売却して「買い替え」の扱いにした方が良いということです。
適用要件
前項の特例は全ての事業用不動産に適用されるわけではありません。この特例は売却不動産と購入不動産が一定の組み合わせであることが条件です。この「組み合わせパターン」は複数あるので、詳細は税理士に確認した方が良いでしょう。
代表例として以下の一例を挙げておきます。
・売却不動産
→東京23区や大阪市など事務所などに利用
→売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超である
・購入不動産
→東京23区や大阪などの既成市街地でない地域であること
上記のように、この特例を利用する場合は、売却不動産も購入不動産も「エリア」が関係するので注意しましょう。
まとめ
入居用不動産に比べると、事業用不動産を所有する機会は少ないでしょう。ただし、機会が少ないからこそ、知識がないと損をしてしまうかもしれません。特に、会社経営者や個人事業主で事業用不動産の所有を検討している方は、上述した点は理解しておきましょう。
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