No.182
親名義の土地は売れる?委任状の注意点を解説
親が高齢になってしまっているときなど、親の代わりに親名義の土地を売ることがあると思います。その際、委任状を作成して代理人になる必要があります。ただし、その際の注意点などもあるので、きちんと注意点を把握した上で手続きしましょう。
1.委任状を用意する
親などの親族とはいえ、勝手に土地などの不動産を売却することはできません。基本的に、不動産は法的に登記されているため、第三者の目から見ても明らかに所有者が分かっているからです。
仮に、親名義の土地を売りたい場合は、委任状で代理人になるか、贈与を受けて自分の名義に換えるという方法があります。
1-1委任状とは?
委任状とは、親が子供へ土地の売買を委任することを証明した書類です。この委任状を作成することで、子供は親の代わりに土地の売却をすることを許可されるということです。委任する相手は、親子関係でなくても構わず、親族でなくても構いません。
1-2委任状の内容
委任状の内容は、一般的に以下のような文言になります。
「委任者○○○○(以下「甲」という。)は、受任者○○○○(以下「乙」という。)に対し、甲所有の下記不動産を下記条件で売却することを委任し、その代理権を付与する。」
親の土地を売却するのであれば、委任者は親になり、受任者は子供になります。上記の文言の場合、基本的に土地の売却に関する全てを代理人にお願いすることになります。
2.委任状の注意点
委任状の注意点は、以下の点です。
・委任者の署名、捺印が必要
・委任者の印鑑証明が必要
・代理人の証明書が必要
・価格と引き渡し時期のすり合わせ
2-1署名や印鑑証明について
委任状は、土地の売却を依頼する仲介会社がフォーマットを持っています。そのフォーマットを利用して、委任者が署名・捺印をして、印鑑証明書を添付します。きちんと実印で捺印していることで、その委任状に説得性を持たせるためです。
また、代理人は免許証などの個人証明書が必要です。その証明書の氏名や住所と、委任状に書いてある氏名や住所を照らし合わせて、仲介会社や買主は委任された人であることを確認します。
2-2価格と引き渡し時期のすり合わせ
売却の全てを代理するということは、売主に許可を取らずに売却金額を変更したり、引き渡し時期を変更したりすることも可能です。そのため、委任者と代理人の間で、きちんと売却下限価格や引渡し価格をすり合わせしておきましょう。それが、後のトラブル防止にもつながってきます。
3.贈与に注意
前項でいったように、土地の名義を子供に変更すると、所有者が親から子供になるので、委任状なしで売却可能です。しかし、この場合は土地を子供に無償で譲り渡したという扱いになり、「贈与」と見なされます。
そのため、非常に高い税率である贈与税が課せられるので、贈与で親名義の土地の売却は避けた方が良いでしょう。
4.まとめ
このように、委任状を作成して代理人になることで、親名義の土地を売却することができます。実際は、売却時に委任状の書き方などをレクチャーするケースが多いですが、上述した注意点は事前に頭に入れておきましょう。
(関連コラム:実家を空き家のままにしないために考えておくべきこと)
(関連コラム:土地を売る時には建物の「解体方法」は重要)